びファインダーを覗いてシャッターを切り始める。挙式前にもウェディングドレス姿をさんざん撮っていたが、そんなに撮ってどうするつもりなのかわからない。目の保養だとか言っていたが話半分に聞いている。数分ほどして満足しきったように息をついた彼女は、心なしか寂しげに微笑み、そのコンパクトカメラを片手で軽く掲げて見せた。
「これからは今までみたいに会えなくなるし、この写真で寂しさを紛らわすよ」
「うん……」
 小さいころからずっとクラスまで一緒だったのに、別々の学校になるかと思うとしんみりしてしまう。しかし、それは未来に向けて各々の道を進むからであり、悲しむことではない。
「でも、みんな第一志望に受かって良かったよね」
 湿っぽい空気を払拭しようと、意図的に声をはずませて話題を変える。
「そうそう、富田にはびっくりしたわマジで」
「澪ちゃん遥くんと同じところなんだよね?」
「死ぬ気で頑張ったからな」
 富田はへらっと笑い、照れくさそうに頭の後ろに手をやった。
 二年生までの彼の成績では目指すことすらありはずだ。死ぬ気で頑張ったというのも大袈裟ではないのだろう。何がそれほどまでに彼を駆り立てたのかわからないが、澪と同じく譲れないものがあったのかもしれない。しかし、綾乃は胡散臭いものを見るような目を彼に向けていた。
「おっそろしい執念だよなぁ」
「だから、そうじゃないって!」
 富田は焦ったようにわたわたとして言い返す。執念というのが何なのか気になるところだが、本人が否定